『解放新聞広島県版』 2007年3月7日 第1860号


語り継ごう、わたしの生きてきた道
            
     自らの生きざまを通して部落差別の実態を明らかに
           
                広島県識字経験交流集会

               

「人間丸ごと奪われつづけたこのわたしが、識字で学んで、今が青春です」。

 広島県識字経験交流集会が、2月24、25日、世羅町せら文化センターで開かれた。テーマは「語り継ごう、わたしの生きてきた道」。自らの生きざまを通して部落差別の実態を明らかにしてきた識字運動を、混迷する格差社会のなかで生きる青年たちとともにつくりあげていこうと企画された。

 開会のあいさつで、神田千代子文化対策部長は、「『学校の門はいっぺんもとおっとらん』という先輩の言葉を、深く、重く受け止めることのできる集会にしていこう」と述べた。

 集会では3本の実践報告がおこなわれた。

 東部協女性部は、女性部解放学校で創作した構成詩『今を生きる、未来(あす)を生きる』を熱演。広島県東部の識字運動で生まれた詩の中から、出演者とゆかりの深いものをとりあげ、闘いの歴史を織り交ぜて朗読。青年部がスライドや音響を担当し、作品を盛り上げた。

 呉市協女性部は、解放文化祭で過去2回上演した構成詩を、さらに練り上げてステージに臨んだ。『私たちの手で創造しよう!識字と文化』には、識字生が支部の歴史に自分史を重ねて綴る葛藤の場面や、寺による差別、盆踊りをめぐる闘いなどが各支部から寄せられ盛り込まれた。上演後、参加者からは賞賛の拍手と色とりどりのおひねりが振舞われた。

 県連青年部は、昨年の全国青年集会で報告した被爆証言フィルム『過ちをふたたびくりかえさないために』を上映。「記録にとどめず記憶に刻みたい」。夏の平和公園をともに歩きながら、部落差別と被爆の実相を語ってくれた下原隆資・元県連副委員長とのかけがえのない一日を映像化したもの。

 宿舎に移り、各部屋少人数でおこなわれた「解放運動夜話」では、女性たちと青年が車座になって、支部発足前史や識字学級の思い出、被差別体験をのりこえてきた知恵などが語られた。

 「識字を延々と語るこのいたみを、わかってくれているのか」。部落には、識字学級で学ぶことを選択できなかった多くの男性がいる。文字を書くことのできない連れ合いと懸命に生き抜いてきた女性たちのしぼるような言葉が、青年たちの背中を押した。

 2日目は青年たちがマイクを握りしめた。「おばあちゃんが、漢字でもカタカナでもない記号を書いていた」「この字、ちがうよ、とわが子にいわれた父親の切なさが、いまになってわかる」「いつかは支部の解放運動史を編さんしたい」。

 新市支部の参加者5名は、仲間に出会えた喜びを短歌で発表。ちいさな識字教室が夜遅くまでおこなわれていた成果だ。

 閉会のあいさつで広中恵美子女性部長は「不登校の児童・生徒が激増している今、識字運動で検証されてきた課題が大きな意味をもつ時代になろうとしている。各地での活動を強化していこう」と述べた。