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内閣総理大臣 小泉 純一郎 様 部落解放同盟広島県連合会 防衛庁による身元調査・リスト作成に強く抗議する 防衛庁が組織ぐるみで情報公開法に基づく請求者の身元調査をおこない、そのリストを作成し、庁内の職員専用LAN(構内情報通信網)で閲覧できるようにしていたことが判明した。このリストには請求者の職業、所属団体、生年月日ばかりか思想、信条までも記載されており、「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」(以下、「行政の個人情報保護法」)の4条、9条、12条に反する違法行為である。この事件が発覚した当初、防衛庁はリストは「海上自衛隊の3佐が個人的に作成したもの」と釈明していたが、同庁内局、陸上幕僚監部、航空幕僚監部の各情報公開室でも作成していたことが判明。さらに、内局と航空幕僚監部が事件発覚後、違法性が強い個人情報を削除した修正リストを作成し、職員専用LANに再掲示するという隠ぺい工作までしていたことが明らかになった。 これは情報公開法の理念に反するだけではなく、「行政の個人情報保護法」にも違反し、憲法が保障している「思想、信条の自由」「国民の知る権利」を侵害する重大な問題であるといわざるを得ない。 ときあたかも、「有事関連3法案」「メディア規制3法案」が政府から国会に提出されている時期である。この事件は政府(行政機関)が個人情報を保護する能力も資格もないことを事実をもって証明した。もしこれらの法案が成立し、政府に権限をフリーハンドに与えれば、政府による「国民管理」と人権侵害が横行する戦前の日本のような暗黒社会になることは火を見るよりも明らかである。 そもそも「身元調査」をすること自体が重大な人権侵害である。われわれは民間企業、調査会社による身元調査を厳しく糾弾し、差別につながる身元調査の規制を求めてきたが、今回、防衛庁という政府機関、国家公務員によってこのような人権侵害行為がおこなわれていたことに満身の怒りを込めて抗議する。 さらに、福田康夫官房長官が、現在審議されている「行政の個人情報保護法改正案」に公権力の違法行為を罰する規定がないとの指摘に対して5月28日の記者会見で、「行政機関はそういうこと(違法行為)をしないことになっている」などと述べたことも重大な問題である。今回の事件は、こうした「官は悪いことをしない」という認識の誤り、「官」の人権感覚欠如の実態、「官」が「民」を支配するという意識や制度ではわれわれ国民の権利は決して守られないことを浮き彫りにした。 われわれは、現在、政府が提案している「人権擁護法案」について、公権力の違法行為、人権侵害に対して軽視していること、人権委員会を法務省の外局にするという「公権力からの独立性」を欠く制度にすることによって「何が差別か、何が人権侵害か」を「官」の恣意的判断に法的根拠を与えることになるなどの問題点を指摘し、同法案に反対であることの意思を表明しているが、今回の防衛庁身元調査・リスト作成事件は、改めて「官」の人権感覚欠如と独立した人権救済機関の必要性を示している。 われわれは、今回の重大な法律違反、人権侵害事件に対して満腔の怒りをもって抗議するとともに、身元調査がどのような方法でおこなわれたのか、その事実関係を明らかにするよう強く求める。 |