2002年6月12日

広島県教育委員会
教育委員長  小笠原 道雄  様
教育長     常盤    豊  様

                                       児童・生徒の進路保障をすすめる会
                           
代 表  青 木  健 壮

統一応募用紙問題についての抗議と申し入れ

 

 平素は本県の教育及び児童・生徒の進路保障のために御尽力いただき感謝しております。

さて、現在の経済不況により、新規学卒者の就労についても極めて厳しい状況にあります。しかし、この状況を作り出した責任は政治であり、私たち大人の責任であって、子どもたちになんの責任もないことはいうまでもありません。

しかし、県教育委員会にあってはこれまでの経過を無視して一方的に、「高等学校等卒業者の就職応募書類」の様式を「広島県高等学校統一用紙(以下広島県統一用紙)」から、「全国高等学校統一用紙(以下全国統一用紙)」に変更しました。その理由については、「他県にも通用する応募書類とした」とされていますが、以下のような問題があり、新規学卒者の就職時に新たな差別選考を誘発させるものと考え抗議するものです。

 

一 広島県統一用紙の歴史と経過を無視した一方的な変更であること。

広島県においては、1969年の広島相互銀行、広島信用金庫、協和銀行による身元調査、身上調査、差別発言等の就職差別事件が契機となり、広島県高等学校進路指導協議会(進路協)、広島県商工労働部、広島県高等学校同和教育推進協議会(高同教)の三者により、1999年度末まで30年にわたって就職差別事件を整理し、新たな差別事件を発生させないために、現在の広島県統一用紙を誕生させ使用してきた。

にもかかわらず、県教委が、現在の広島労働局、広島県商工労働部への簡単な報告だけで、広島県統一用紙を廃止したこと。

二 全国統一用紙の履歴書には、保護者欄があり、本人の責任ではない家族構成による差別選考を誘発すること。

三 全国統一用紙の調査書では「全・定・通」の課程に○印をつけることとされており、このことにより、課程を理由とした差別選考が発生する可能性が高いこと。

四 同調査書では、「身体状況・視力」欄について、( )によって、裸眼視力と矯正視力の両方を記入するようになっているが、学校保健法の改訂により、学校では、1995年度から「眼鏡等を使用しているものについては、裸眼視力の検査を省略できる」として、「裸眼」もしくは「矯正視力」の一方を記入することとなっており、その改訂の理念を踏みにじるものとなっている。

五 履歴書・調査書とも、学歴・職歴欄について、編入・転入学の記述が求められ、全ての履歴を記述することによって、過去の履歴までが選考の対象にされる可能性が高いこと。

六 履歴書・調査書とも、年表記が「元号」に統一されており、記入者である生徒の「思想・信条の自由」を侵害すること。

   履歴書は、本来、本人が書類に記入する権利を有しているが、県教委は校長に対して「生徒に様式通りに記入させるように指導すること」と指導しており、そのことにより、元号以外の年表記の使用が検閲され、「思想・信条の自由」が侵害される。

 

また、県教育委員会にあっては、1999年度から2000年度にかけて広高同教を公的機関から排除し、進路協の解体を強行し、「部落差別事件・就職差別事件については県教委が対応する」との約束をしたが、これらの差別事件の有無は公表されず、よって差別事件が有ったのか無かったのかは全く不明となっています。従って、現在は差別事件があっても全県的な把握や解決の取り組みができず、差別事件に遭遇した児童・生徒は泣き寝入りの状態を余儀なくされていると、容易に想像できます。

また、多くの校長にあっては、新規学卒者の就職指導を生徒管理に利用し、経済不況が政府・大人の責任であるにもかかわらず、「様式どおりに書かないと就職できない」などと就職難の原因を生徒に押し付け、生徒本人の履歴書に記入する権利をことごとく侵害しています。

従って、新規学卒者の人権を尊重し就職差別選考を誘発させないため、以下の点について、強く申し入れるとともに、速やかに文書をもって回答されることを要請するものです。

 

 

 

一 就職差別選考を引き起こす可能性のある「全国高校統一用紙」を速やかに「広島県高校統一用紙」に戻すこと。

二 当面、以下の項目についての指導を各校長に徹底すること

1.履歴書の「保護者」欄をホワイト削除すること

2.履歴書の「学歴・職歴」欄の記述を「卒業・卒業見込」のみとし、その他は斜線を引くこと

3.調査書の「課程名」欄の全・定・通の表記をホワイト削除し、記入を本人の自由意志に委ねること

4.調査書の「在学期間」欄の「入学・編入学・転入学」をホワイト削除し、「卒業・卒業見込み」欄のみとすること

5.調査書の「身体状況・視力」欄の( )をホワイト削除すること

6.履歴書・調査書の「年表記」をホワイト削除すること

三 進路協にかわる機関を立ち上げること。尚、その機関に高同教等、現場教職員の代表を位置付けること