平成14年1月23日東京高等裁判所第5刑事部高橋省吾裁判長は狭山事件の第2次再審申立に対する棄却決定に対する異議申立を棄却する決定を下した。弁護団は満身の怒りをこめてここに抗議の声明をあきらかにするものである。
本決定の内容は全部で8万数千字に達するものであるが、これを検討すると弁護団の主張、新証拠の内容を多量に引用しながら単に結論部分として「弁護人らの主張は認められない」という判断を下しただけの内容空疎な迷妄の一語に尽きるものと断言できる。有名な万年筆の発見に関する疑問に対する論点についての判断がその典型であるが、弁護人らの主張、関連する鑑定内容を引用しながらその申立を棄却した理由としてあげているのは単に「第3回目の捜索で発見されたのは、第1、第2回の捜索の場合と捜索の事情や条件を異にするのであるから第1回、2回の捜索時に発見できないからといって本件万年筆が石川宅になかったことにならない」というだけの理由で弁護人らの請求を棄却したのである。いうところの「捜索の事情や条件を異にする」という点について、具体的には一切ふれていない。
あるいはまた、上記万年筆について異議審に提出した齋藤鑑定の結果あきらかになったところの、万年筆による脅迫文の訂正ならびに脅迫状、封筒の文字が自白にいう犯行現場で訂正されたものではなく、それ以前に万年筆によって筆記されたものであることが科学的にあきらかにされているにもかかわらず、この弁護団の主張と自白の核心をゆるがした鑑定結果を全く無視し、論点としてとり上げていないのである。要するに本決定はあきらかに逃げの姿勢そのままであった。その証拠に旧証拠である自白の信用性についての総合的かつ全面的な再検討を全くやっていない。
本決定はいうまでもなく無辜の救済の理念によって審査されたものではなく、ただ確定判決を維持せんがための棄却決定であって白鳥決定、財田川決定に対する判例違反はまことにあきらかである。弁護団は最高裁判所に特別抗告をなすことにより、必ずや再審開始決定をうるために断固たたかうものである。