主張 自民党惨敗と安倍首相らの反人権体質


 第21回参議院選挙は、自民党の歴史的惨敗、民主党の大躍進で参議院は、与野党逆転となった。

 社会党健在なりし頃であれば保革逆転といったところであるが、自民、民主の価値観にさほどの違いがないことを考えれば、与野党入れ替わりの水準にとどまる可能性がある。

 選挙の争点は、年金、「政治とカネ」、格差拡大が主なものとなった。そしてこれらの争点が「与野党逆転なるか」に収斂されていった。

 年金問題は、コツコツと納めた年金が、ずさんな事務処理によって「消えた」という怒り心頭に達する問題である。

 「政治とカネ」は表面化すると一時期緊張が走り、少し時間がたてば「喉もと過ぎれば」を繰り返してきた。

 格差拡大については、小泉構造改革にその責任の大半がある。改革による「痛み」が、仏教の言う異時因果(一定の時間を経て結果が出ること)で安倍内閣になって顕著となり、国民から反撃を受けたということである。このような角度から見れば安倍は小泉の犠牲者ということになる。

 しかし、「小泉政権を継承する」とし、くり返して「改革の手を緩めることはできない」ということになれば、小泉と同罪ということになる。

 年金、格差拡大で国民を苦しめ不安を与えておいて自分たちは「政治とカネ」で常識を逸脱したことをやれば国民の怒りが倍加するのも当然である。

 自民党惨敗の底流にある人権感覚の欠如も指摘しておこう。

 安倍首相と閣僚の反人権、差別発言のことである。

 柳沢厚労大臣は「女性は生む機械」と発言、伊吹文科相は「人権メタボリック」発言、さらにこの人は「大和民族が日本の国を統治」とも。麻生外相の「アルツハイマーの人でもわかる」発言。慰安婦問題での、「軍は関与していない、強制はなかった」との安倍首相発言など、人権を踏みにじる発言が相次いだ。

 新自由主義史観の安倍首相らの本性がさらけ出された記事がある。

 5月14日付けの『朝日新聞』は、97年に「従軍慰安婦」が教科書に載ることに反対した「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(代表 中川昭一、幹事長 衛藤晟一、事務局長 安倍晋三)と官房長官談話を出した河野洋平氏とのやり取りの一こまを暴露的に紹介している。

 K議員「この程度のことを外国に向けてそんなに謝らなきゃいかんのか。兵隊にも何も楽しみがなくて死ねとはいえない。楽しみもある代わりに死んでくれと言っているわけでしょう」

 辛酸をなめた慰安婦の人たちへの冒涜は言うに及ばず、戦争に駆り出され犠牲となった「兵隊」をも冒涜する発言である。

 問題は、このような政治家が、現に日本の政治を動かしているということである。

 今、日本の経済構造は、矛盾を拡大している。格差に喘ぐ人びとや多くの無権利、低賃金労働者をつくり出している。この経済構造に照応する形で人権状況も悪化しているわけである。

 日本の国民の人権感覚は、必ずしも高いとはいえない。しかし、その国民の水準に遠く及んでいないことをこれらの政治家は自覚すべきである。

                          (T・K)




  『解放新聞広島県版』 2007年8月22日 第1884号